2016年9月25日日曜日

まれ!異例のレイ・レマ

レイ・レマ&ローラン・ド・ヴィルド『リドルズ』
Ray Lema & Laurent De Wilde "Riddles"

 レイ・レマ(コンゴ出身のマルチインストルメンタリスト。今回はピアノ専業)とローラン・ド・ヴィルド(ワシントン生れのニューヨーク派仏ジャズ・ピアニスト)のピアノ二重奏アルバム "RIDDLES(謎)"。
 準備期間6ヶ月、リハーサル1ヶ月。だからある日偶然にスタジオに居合わせて作ったアルバムとはまるで違う。全く違う道のりを歩んできた(放浪してきたと言うべきか)二人の音楽家が、(レイの言葉では)「その道が実はひとつだったような」ところまで歩み寄る。(ローランの言葉では)「ひとりのピアニストというのは全部がひとりでできる世界の王者だ。それが目の前にもうひとりの世界の王者が現れて対話する時には、良質の謙虚さが要求される」。腕の競い合いではない。ひとつのメロディーを二人で違う方法で愛でていくような。全体的な印象としてはレイのアフリカ的なるものが、ローランの包み込みで輝きや色彩が増していく感じ。ジャズ的けれんみを排除し、音符数を減らし、二人が相手の次の呼吸を読み合えるまでに近づいていく。バラフォンのような音を出すローランのピアノ(3曲め "Fantani")は鮮やかなアフリカへのオマージュ。ブルース、マンダング、タンゴ、ラグタイム、ジャマイカン... 二人の呼吸が合ったらあれもできる、これもできる、という茶目っ気混じりのオリジナル曲(ほとんどレマ/ド・ヴィルドの共作)は、優美さが際立っている。録音の数日前に知ったプリンスの死を悼んで、録音演目に入れた「アラウンド・ザ・ワールド・イン・ナ・デイ」(10曲め)。2016年に聞いた最も美しいアルバムの1枚。
<<< トラックリスト >>>
1. INTRO (Lema/De Wilde)
2. COOKIES (Lema/De Wilde)
3. FANTANI  (Lema/De Wilde)
4. RIDDLES (Lema/De Wilde)
5. CONGO RAG  (Lema/De Wilde)
6. TOO MANY KEYS (Lema/De Wilde)
7. THE WIZARD  (Lema/De Wilde)
8. LIANE ET BANIAN (De Wilde)
9. MATONGUE (Lema)
10. AROUND THE WORLD IN A DAY (Prince/John L Nelson/David Coleman)
11. FANTANI - Radio Edit
(Lema/De Wilde)
RAY LEMA & LAURENT DE WILDE "RIDDLES"
CD GAZEBO GAZ127
フランスでのリリース:2016年10月21日
カストール爺の採点:★★★★☆
(↓)メーキング・オブ
 
 
 

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