2015年4月9日木曜日

僕はふたたび風になる


マルタン・レオン (Martin Léon)
1966年生れ、ケベックのシンガー・ソングライター。演劇と映画のための音楽も多く、エンニオ・モリコーネとも仕事している。2010年発表のアルバム"LES ATOMES"が、翌2011年にフランス国営音楽FM局FIPのセレクションに入り、今でもプレイリストに載っているが、CDはフランスでは配給されていない。日本でのことは知らないがまずないだろう。アルバム収録曲のほとんどが当時のFIPでオン・エアされていたから、私は久しぶりに、たぶん数十年ぶりに、ラジオだけでアルバムを愛聴したことになる。とりわけ最終曲の「僕はふたたび風になる(Je redeviens le vent)」が、心に沁みている。3年後の今も。

愛する人たちと別れ
友人たちとも別れた
不和になったわけではないのに
僕が進んできた道とも別れた
今日僕は別れ
僕は追憶になる
僕はふたたび風になる
鳥を飛翔させ
大海を歌わせる
ふたたび人の目から見えなくなって
これからは
春が僕の住処だ
僕の仕事や僕の皮膚や僕の血とも
おさらばだ
僕はふたたび風になる
僕にはもう未来はない
僕には自分の持っている時間しかない
最初の欲望のような
昇る朝日のような
きみのためにすべてを失うような
だがそれはとても短い瞬間だった
僕はふたたび風になる
  ( "Je redeviens le vent" - Martin Léon)





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