2009年11月18日水曜日

ジャンゴ100 オン・ステージ



 11月17日昼、クリニャンクールのみの市(日本人はこう言うんですが、実は土地の人々は「サン・トゥーアンのみの市」と言う)のど真ん中、マヌーシュ・ギターの聖地ショップ・デ・ピュスで、アルバム『ジャンゴ100』の発表記念パーティーでした。
 ショップ・デ・ピュスは外から見るとただのビストロ・バーですが、奥にりっぱなステージ付きのレストラン・ホールがあり、ステージのホリゾンにはジャンゴ・レナールのお姿が。店内にはジャンゴが使ったいろいろなギターが陳列されていたりして、ファンにはたまらないでしょうね。
 りっぱな場所です。普段に来たら、レストランも結構高そうです。この上の階にはロマーヌも教師をしている新設の私立音楽学校があり、マヌーシュ・ギターを中心に後進の教育につとめています。昨日はその学校もロマーヌの案内で見ることができました。
 場所の持主はマルセル・カンピオンという人で、「旅の民」界ではたいへんな大物で、年末年始の風物詩となったコンコルド広場の大観覧車もこの人の持ち物で、移動遊園地やサーカス界で勢力のある人で、ジタン/ジプシー/マヌーシュ/ロムの地位向上やその文化を一般市民に理解してもらうために尽力する市民運動家でもあります。
 「ジャンゴ100」の企画者/プロデューサーのJMS(ジャン=マリー・サラニ)があいさつ。今日に生きるギタリストたる者,誰でもジャンゴ・レナールに負うところがあるはず。来年の生誕100周年に,そんなギタリストたちの「ありがとうジャンゴ」の気持ちを伝えたい。これはビレリ・ラグレーヌからのジャンゴ・トリビュートでも,ロマーヌからのジャンゴ・トリビュートでもない。有名無名を含めたギタリスト集合体からのジャンゴありがとうなのである--- というようなことを強調していました。いいですね。
 ビュッフェで美味しく食べ,美味しく飲み,そのあと「ジャンゴ100」のショータイムです。マトロの息子ふたり,エリオス&ブールー・フェレ,そしてロマーヌの姿は,この催しの最初の頃から見えていましたが,アンジェロ・ドバールの姿が見えません。「来ないんじゃないの?」と言う声が隣から(私に同行したハタノ君です)。あにはからんや,遅れに遅れてやってきました。ジャン=マリー・サラニがすかさずマイクを握って「メダム・ゼ・メッシュー,アンジェロ・ドバール!」とアナウンスしますと,大喝采が起こりました。このメンツではやはり一番のスターでしょうかね。
 というわけで,初冬の昼時,美味しい食事とワインの後,私たちは(そうそう見られるものではない)ロマーヌ,エリオス・フェレ,ブールー・フェレ,アンジェロ・ドバールの四重奏という極上の音楽を楽しむことができたのでした。ありがたや,ありがたや。

(お写真撮影はハタノ君でした)

0 件のコメント: