2008年4月13日日曜日

探したら出てきました。



 増田恵子 『サンプル・コンフィダンス』
Keiko Masuda "SIMPLES CONFIDENCES"


 よく持ってたなあ、という感じです。1989年だそうです。CDも出ていたんでしょうが、爺はLPで持ってました。大体CDプレイヤーを買ったのが89年で、あの頃はCDとLPで値段差があったので、新譜でもまだLPで買ってましたし。そして89年は爺が某レコード配給会社に入社した年でもあり、このLPは見本でもらったもののような記憶があります。JUST'IN(ジュスティーヌと読む)という2〜3年ほどで消えてしまったレコード会社から出てました。
 爺はピンクレディーというのはよく知らなかったんです。76年に「ペッパー警部」でデビューした時、学生だった私は8ヶ月間のフランス留学をしていて、翌77年に帰ってきた時は大変な人気になっていましたが、私はテレビを持っていなかったので、その熱狂には疎かったのです。テレビがなければ、ピンクレディーなどなにものでもない、と思っていました。日本もフランスも「テレビがなければなにものでもない」歌手がゴロゴロいたのです。フランスではこのテレビ歌手は「ジスカール・デスタン期」に量産されます。これを Variétés ヴァリエテと呼ぶのです。
 で、増田恵子がソロ歌手としてフランスでアルバムを出しました。裏ジャケにはエグゼキュティブ・プロデューサーとして日本のIVS Musicという名前があります。今もあるテレビ制作会社IVSですね。ここがお金を出してフランスで制作されたということなんでしょうね。
 プロデュース/作曲編曲がクリスチアン・オル Christian Holl という人です。フランスではあまり聞かない名前です。この人のオフィシャルHPがあるので行ってみました。www.christian-holl.com 今は自然音や民俗音楽を録ったり「細工」したりしている人のようですね。映画音楽やテレビでのサウンドスケープなんかですね。で、この人のバイオグラフィーを見ると、「1985年、小林麻美のアルバム"Le monde à l'envers"を作曲」、「1985年、フランス代表歌手として東京音楽祭にエントリー、"Femme dans ma vie"で最優秀作曲家賞を受賞」、「1989年、増田恵子のアルバムを作曲、JASRACから最優秀外国人作曲家トロフィーを受ける」....なんていう記述があります。日本で活躍した人なんですね。小林麻美をウィキペディアで調べたら、たしかに85年のアルバム『ANTHURIUM~媚薬』で10曲中5曲がこのクリスチアン・オルの曲になってました。
 たぶん日本からは「大物視」されていたのかもしれませんね。増田恵子のアルバムはフランス語6曲、英語4曲の10曲入りで、全曲このクリスチアン・オルの曲です。全曲とても80年代(イタリア寄り)Jポップ風で、このオルという人は日本市場の「ノリ」を知っていたんでしょうね。だけど、これって...。
 増田恵子はなぜフランス?だったのでしょうか。小さなレーベル、小さなレコード配給会社から出たので、フランスではちゃんとしたプロモーションはしていなかったように記憶しています。テレビに出たりしたのかな? なんかすべてがB級なんですよね。曲も歌唱も。もちろんフランス語も英語も。ロマノ・ムスマラ(初期ジャンヌ・マスの数々の大ヒット曲、ステファニー・ド・モナコ、エルザ「哀しみのアダージョ」なんかを書いたイタリア人ヒットメーカー)がしくじったような曲ばかり。仮想ライヴァルはジャンヌ・マスだったのかもしれません。影でジャンヌ・増田みたいな芸名が用意されてあったりして。ヴァリエテの罠ですね。
 と言いながら、さっきから3回もA/B面ひっくり返して聞きました。なんとか良いところを探そうとしているんですけど、「二人のオデッセイ」「恋はうそつき」「あやうい美貌」みたいな日本プロ作詞家が書くようなフランス語詞って、本当にどうしようもないですね。英語詞の歌の方がいいです(って、爺が英語聞き取れないだけの話か)。2曲め "Don't make up your mind", 10曲め "Some kinda guy"、ケイちゃんのハイトーン・ヴォイス、ケイト・ブッシュみたいによく通っていて魅力的です(ちょっと無理があるか)。

<<< トラックリスト >>>
A面
1. SIMPLES CONFIDENCES
2. DON'T MAKE UP YOUR MIND
3. ODYSSEE A DEUX
4. AMOUR MENTEUR
5. AVEC LE FEU
B面
1. BEAUTE FRAGILE
2. I DANCE WITH FIRE
3. COMME LES HOMMES
4. SING THE OLD SONGS
5. SOME KINDA GUY

LP KEIKO MASUDA "SIMPLES CONFIDENCES" (MAZERES DISQUES/JUST'IN JD360253)

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

カストール様
すっと仕事に追われて、久しぶりに書き込みさせて頂きます。
増田恵子さん(ケイちゃん)のフランスデビューがあったのですね・・・。そう言えば当時そんな記事をちらっと見たような気も致しますが、そもそもあまりPinkladyの各個人のfanではなかった私は今まで忘れておりました(^^;。

Pinklady自体は、歌謡曲黄金期を象徴する見事な「プロジェクト」だったように思います。山本リンダさんの成功パターンを踏襲し発展させた阿久・都倉コンビの作戦、井上鑑さんなどの優れたスタジオ・ミュージシャンの起用、TVメディアのフル活用、そのベースには証券会社出身の特異な事務所社長...様々な要素が融合したからこそ生まれた、現代のような(自称)アーティスト全盛の今ではあり得ない「偶像」だったように思います(^^)

でもお二人には申し訳ないですが、ミーちゃんもケイちゃんもこのプロジェクトのメンバーであっただけで、私としては残念ながらそれ以上でも以下でもなかったように思っております(^^;。それにしても。どなたがどう動くとこういう話(フランスデビュー)になるのでしょうね・・・?音楽、というか芸能界って不思議なところだと改めて感じたりしました(笑)。レアな音源の情報をありがとうございました。

※引き続き密かにこんなレア物情報を期待する私って・・・(^^;

ry さんのコメント...

昔聴いた小林麻美のANTHURIUMを先日聴いたところ、全曲松任谷由美だと思っていましたがChristian Hollという名前があり、誰だっけそれって〜当時そんな人いたかな〜と気になって調べてここにきました。Christian Hollに関して詳しくかいているのはここだけでした。有り難うございます。ゲンスブールファンなので他のブログも面白く又見させて頂きます。