2007年8月19日日曜日

フランスとナヴァール


(←ナヴァール国の紋章)
 先日郵便局へ行ったときに,前のお客さんのスペインまで送る手紙が何日で届くかという問いに結構若いおにいさんの局員が「フランスとナヴァールまでだったら翌日に着きます。それより先だったら2日かかります」と答えてました。
 またいつだったか家電屋のDARTYの店員からも保証についての説明で,「あなた日本に住んでるわけじゃないんでしょ?フランスとナヴァールに住んでるんだったら保証大丈夫ですよ」と言われたことがあります。
 この古くさい表現,とても気に入ってたのです。元々は映画『王妃マルゴー』などで描かれた政略的に無理矢理フランス王にさせられてしまったナバラ王国(フランス読みではナヴァール)のアンリ4世のフランス王位即位(1589年)以来,フランスの王は「フランスとナヴァールの王」と名乗るようになったのです。民にしてみれば「フランスとナヴァール」という二つの国が自分の国みたいな,ちょっと大きな領土で考えられるじゃないですか。トリニダードとトバゴみたい。だから冗談めかしに,自分の国のことを「フランスとナヴァール」と言う人たちがたまにいるのです。
 私はこれにちょっと触発されて,フランスよりもちょっと大きめの範囲(ベルギーやスイスのフランス語圏や,オクタニア,バスク,コルシカ,サルデーニャ,トスカーナ)での音楽という意味と,ワールド・ミュージック・ミスチャー的にフランスで膨らみをつけた音楽みたいなものを紹介する本を書きたいなあ,という望みがあり,それが実現したら『フランスとナヴァールの音楽』という題にしようと思っていたのです。フランス・プラス・アルファという意味合いなんですが,それを「フランスとナヴァール」という歴史的表現であらわそうと思ったわけですね。
 でも,今日読んだウィキペディアの説明では「フランスとナヴァール」という言い方は,かなり王党派/王政復古主義者的な意味合いが大きいようです。今でもいるんですよ,フランスに王を復活させようと言っている党派が。ブルボン家の王位継承者も実在しますし,世が世ならば王族という人たちが時々ピープル誌にも登場してますし。ちょっとこの人たちと一緒になるのはかなわないですね。「フランスとナヴァール」というのは素敵な言い方なのに....。
 

1 件のコメント:

Pere Castor さんのコメント...

自分で補足しますが、"de France et de Navarre"という表現は「フランスと(その近所の)他所」と、あるいはもっと平たく「こことお隣さん」みたいなニュアンスがあります。だから"La musique de France et de Navarre"(フランスとナヴァールの音楽)は、「拡大フランス音楽」みたいな意味に使えるんじゃないかな、と思ったのです。どう思われます?